建設業許可を取得するまでの流れ その①

建設業許可

こんにちは!マムアン行政書士事務所です。 前回は建設業許可の基本について解説しましたね。今回は、じゃあ、実際にどうやって許可を取るの? という、具体的な流れについてお話ししていきます。この「建設業許可取得の流れ」は、全3回でお届けするシリーズです。


建設業許可取得までの7つのステップ(全体像)

建設業許可を取得するまでには、主に以下の7つのステップがあります。

①そもそも許可は必要?
②どの種類の許可を取る?
③許可の条件はクリアできてる?
④申請書類の準備
⑤役所へ提出と手数料支払い
⑥役所での審査
⑦許可取得!

この中で、皆さんが実際に行うのはステップ1から5までです。役所での審査を経て、いよいよ許可取得となります。

今回は、この中でも特にスタート地点となるステップ1と2について、一緒に見ていきましょう!


【ステップ1:そもそも許可は必要?】

まず最初に確認すべきなのは、そもそも、自分の事業に建設業許可は本当に必要なのか? ということです。許可の取得も、その後の維持も、やはり手間やコストがかかります。だからこそ、本当に必要なのかどうかをしっかりと見極めることが大切です。

許可が不要なパターンとしては、大きく分けて2つあります。

許可が不要な例

1. 「建設業」(完成を請け負う)に該当しない場合

  • 雇用契約で働く建設工事
  • 委任契約で行う建設工事
  • 建売住宅の売買
  • 単なる物品の販売
  • 研究のための調査
  • 修理・点検・補修作業 など

「建設業」とは、建設工事の完成を約束し、その対価を受け取る、いわゆる請負契約のことを指します。 ですので、例えば、雇用契約や委任契約で請け負う工事、建売住宅の売買、単なる物品の販売、修理や点検、補修作業、そして研究のための調査などは、「建設業」には含まれず、建設業許可は必要ありません。

2. 小規模な工事しか行わない場合

  • 税込500万円未満の建設工事(材料費、運送費、消費税なども含んだ請負金額)
  • 税込1500万円未満の建築一式工事
  • 延べ面積150㎡未満の木造住宅工事

「小規模な工事」とは、上記の金額や規模に満たない工事を指します。この場合は、法律上、建設業許可は必須ではありません。

ただし、許可が必須ではないからといって、「じゃあ取らなくていいや」と安易に判断するのは、少し待ってください 元請業者からの指示や、今後の事業展開、会社の信用力アップといった視点から考えると、あえて許可を取得するメリットは十分にあります。ご自身の事業の将来像も踏まえて検討することが重要です。


【ステップ2:どの種類の許可を取る?】

建設業許可が必要だと判断したら、次に考えるべきは「どの種類の許可を取るべきか?」 です。建設業許可にはいくつかの種類があり、それぞれ必要な条件や申請先が異なります。

建設業許可の種類の選び方

①一般建設業許可か、特定建設業許可か
→下請に出す金額が4500万円以上の大規模な工事の元請になるなら「特定建設業許可」
②知事許可か、大臣許可か
→営業所が2つ以上の都道府県にあるなら「大臣許可」
③業種
→29の業種ごとに許可が必要

1. 一般建設業許可 か、 特定建設業許可 か

ポイント:下請に出す金額が税込5000万円以上か

元請業者として、下請け業者に工事を発注する際、その下請け契約の合計金額が税込5000万円以上になる場合は、「特定建設業許可」が必要です。特定建設業許可は取得条件が非常に厳しく、大規模な事業を行う会社が取得します。

それ以外の場合(下請け工事のみ、または元請工事でも下請けに出す金額が5000万円未満)は、「一般建設業許可」となります。

2. 知事許可 か、 大臣許可 か

ポイント:営業所が2つ以上の都道府県にあるか

これは、あなたの会社の「営業所」がどこにあるかで決まります。ここでいう営業所とは、見積もりや入札、契約などを実際に行う事務所のことです。

営業所が1つの都道府県だけに所在する場合は、その都道府県知事から許可をもらう「知事許可」 となります。(例:東京都にのみ営業所がある会社は、東京都知事許可)

営業所が2つ以上の都道府県にまたがって所在する場合は、国土交通大臣から許可をもらう「大臣許可」 となります。(例:東京都と神奈川県に営業所がある会社)

【補足】 許可を取得した後は、営業所の場所に関わらず、日本全国どこでも建設工事を行うことは可能です 例えば、東京都の知事許可しかない会社でも、東京都内の営業所でその工事の契約を結んでいれば、営業所のない千葉や神奈川で工事を行っても問題ありません。

3. 業種選び

ポイント:29の業種ごとに許可が必要

建設業許可は、29の業種(土木工事、建築工事、とび・土工工事など)に細かく分類されており、それぞれの業種ごとに許可を取得する必要があります。

「一式工事」(土木一式工事、建築一式工事)は、元請けとして、大規模で複雑な工事全体をマネジメントする業種です。しかし、一式工事の許可があるからといって、その工事に含まれるすべての専門工事を無許可で行えるわけではありません。あくまでリーダーの立場で全体を指揮する業種なので、必要に応じて各専門工事の許可を別途取得する必要があります。

「専門工事」 は27業種あり、特定の専門的な工事を行う業種です。

条件を満たせば、複数の業種をまとめて申請することも可能です。

このブログをご覧になっているような、「これから初めて建設業許可を取りたい」と考えている方の場合、ほぼ「一般建設業・知事許可、そしてご自身の事業に合った専門業種」となるケースがほとんどです。


まとめ

今回は、建設業許可を取得するまでの流れの中から「許可が必要かどうかの判断」「どの種類の許可を選ぶか」 の2つのステップについて解説しました。

建設業許可の取得に向けて、まずは「許可の必要性」「最適な許可の種類」を理解することが、最初の一歩となります。

詳しい条件や手続きについては、今後の記事でお話ししていきます。


お困りの方はご相談ください

「うちの会社は許可が必要かな?」「どの種類の許可を目指せばいいんだろう?」と少しでも疑問に感じた方は、お気軽にマムアン行政書士事務所にご相談ください。 一緒に問題を解決していけたらと思います。

タイトルとURLをコピーしました