建設業許可を取得するまでの流れ その②

建設業許可

マムアン行政書士事務所です。 前回のブログ記事では、建設業許可の基本と、取得までの流れの最初の2ステップについて解説しました。 今回は、いよいよ許可を取る上で一番大事なポイントとなる、7つの条件についてお話ししていきます。


建設業許可取得までの7つのステップ(全体像)

建設業許可を取得するまでには、主に以下の7つのステップがあります。

①そもそも許可は必要?
②どの種類の許可を取る?
③許可の条件はクリアできてる?
④申請書類の準備
⑤役所へ提出と手数料支払い
⑥役所での審査
⑦許可取得!

今回はこのステップ3最も重要なところです。


【ステップ3:7つの条件をクリアしているか?】

①経営面のプロがいる
②技術面のプロがいる
③最低限のお金がある
④ちゃんとした営業所がある
⑤社会保険に入っている
⑥「欠格要件」に当てはまらない
⑦これまで誠実に建設業に取り組んできた

建設業許可を取得するには、この7つの条件すべてをクリアする必要があります。 これらの条件は、許可をもらうために満たしておくべき最低限の基準だと考えてください。

今回は、それぞれの条件の概要をざっくりと解説します。 「具体的にどういうこと?」「ウチの場合はどうなるんだろう?」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、ご心配はいりません。それぞれの条件については、別のブログ記事で詳しく解説していく予定です。 今回の記事では、全体像を掴むことを意識して読んでいただければと思います。


①経営のプロがいる

会社の役員や個人事業主として建設業の経営を5年以上やった経験がある人が、会社に常勤していることが必要です。 経営のプロ、というと難しく聞こえるかもしれませんが、要は「会社の経営をきちんとできる人がいるかどうか?」ということです。

ちなみに、ここでの「常勤」は、毎日その会社にいて、仕事をしている状態を指します。例えば、他の会社に常勤で勤務している場合や、他の個人事業を営んでいる場合、常識的に通勤不可能な遠方に住んでいる、といった場合は常勤と認められません。

この5年以上の経営経験には、他にも細かい規定が色々ありますが、ここでは割愛します。詳しくは別の記事で解説します。

この条件は、後述する「技術のプロ」の条件と合わせて、証明するのが一番大変なことが多いポイントです。なぜかというと、本当にその期間に実績があったのかを請求書や通帳などで細かく証明する必要があるからです。

名義だけの会社役員や、確定申告をしていない個人事業主の場合、この経営経験が認められません。本当に経営実績があったのか、を書類で証明できるかが、鍵になります。

②技術のプロがいる

工事の種類ごとに、一定の技術力を持った人が、会社に常勤していることが必要です。 具体的には、

  • その技術の国家資格を持っている人
  • 大学の関連学科を出て3年以上の経験がある人
  • 高校の関連学科を出て5年以上の経験がある人
  • 10年以上の現場経験がある人

このいずれかに当てはまる人が必要になります。 これも、細かい話は別の記事でじっくり解説します。

この条件も、先ほどの経営面のプロの条件と同じく、証明が大変なポイントの一つです。 特に、10年分の経験を証明する場合は、書類を山ほど用意しなければなりません。

③最低限のお金がある

会社の財政基盤がしっかりしているかどうかを確認するための条件です。 具体的には、

  • 直前の決算で自己資本が500万円以上ある
  • まだ決算をしていない新しい会社なら資本金が500万円以上ある
  • 500万円以上の預金残高証明書がある

このいずれか1つをクリアすれば問題ありません。

④ちゃんとした営業所がある

建設業許可を受けるには、きちんとした事務所が必要です。 具体的には、

  • 電話(東京都は携帯電話でもOK)、机、事務台帳などが揃っている
  • 独立した専用スペースがある
  • 事務所として使う権利を持っている(賃貸の場合、事務所用として借りている必要があります。住居専用契約や、都営住宅、UR賃貸住宅はNGです)
  • 看板などで外から見てわかるように表示している

といった条件を満たす必要があります。

⑤社会保険に入っている

従業員を雇っている場合、社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険)への加入が義務付けられています。

  • 健康保険と厚生年金:法人は必ず加入。個人事業主は、家族以外の従業員が5人以上いれば加入義務があります。
  • 雇用保険:1人でも労働者を雇っていれば加入義務があります。ただし、法人の役員だけ、個人事業主だけ、同居の親族だけの事業所は加入義務がありません。

⑥「欠格要件」に当てはまらない

法律で定められた、許可を受けられない条件に当てはまっていないかを確認するためのものです。これを「欠格要件」と言います。 具体的には、

  • 破産の手続きを受けて、まだ復権していない
  • 建設業許可の取り消し処分営業停止処分を受けて、決められた期間が経っていない
  • 禁錮刑罰金刑を受けて、決められた期間が経っていない
  • 暴力団関係者である
  • 建設業を適切に営めない心身の故障がある など

このような場合は許可がもらえません。この欠格要件は、個人事業主本人や社長だけでなく、会社の役員や使用人なども、みんなクリアしないといけないので注意が必要です。意外と引っかかってしまう場合があるので、気をつけてくださいね。

⑦これまで誠実に仕事をしてきた

これは、お客様との間でトラブルを起こす心配がないかを確認するための条件です。 具体的には、

不正な行為:お客さんとの契約について詐欺強迫など、法律に違反することをしていないか
不誠実な行為:工事内容や工期など、契約の約束を破るような行為をしていないか

という2つのポイントがあります。この誠実性の要件は、建設業を普通に真面目にやっていれば、まず問題になることはありません。基本的に宣誓的なものだと考えて大丈夫です。


まとめ

①経営面のプロがいる → 5年以上の経営経験
②技術面のプロがいる → 国家資格、学歴+経験、10年以上の経験
③最低限のお金がある → 500万円以上
④ちゃんとした営業所がある → 設備、使用権原
⑤社会保険に入っている → 規模に応じて適切か
⑥「欠格要件」に当てはまらない → 破産や犯罪などの経歴
⑦これまで誠実に建設業に取り組んできた → トラブルなし

今回は、建設業許可を取得するための最も大事な7つの条件について、概要を解説しました。 これらの条件をすべてクリアする必要があります。 今回の記事で、7つの条件の全体像は掴めたかと思います。

「ウチの会社、この条件は大丈夫かな?」「この条件、もっと詳しく知りたい!」と感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。 それぞれの条件については、別のブログ記事で詳しく解説していく予定です。 次回の記事では、許可取得までの残りのステップ、書類の準備申請について解説します。


お困りの方はご相談ください

「ウチの会社、この条件は大丈夫かな?」「この条件、もっと詳しく知りたい!」と感じている方は、お気軽にマムアン行政書士事務所にご相談ください。 一緒に問題を解決していけたらと思います。

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