こんにちは、マムアン行政書士事務所です。
これまで、建設業許可の取得方法から、許可を取得した後の大事な手続きまでお話ししてきました。長い道のり、本当にお疲れ様です!
でも実は、許可を取得した後も、あなたの会社をもっと大きくするチャンスがあります。それが今回お話しする「業種追加」です。
「ん?業種追加って何?」と感じた方もいるかもしれません。 今日は、この「業種追加」について、分かりやすく解説していきます!
1.「業種追加」とは?
建設業許可は、工事の種類(「業種」と呼びます)ごとに取得するものです。
例えば、現在あなたが「内装工事」の許可だけを持っていても、それだけで「大工工事」を請け負うことはできません。
しかし、仕事を続けていると、
- お客さんから「これもお願い!」と頼まれる工事が増えてきた
- 新しい分野の工事にも挑戦して、もっと売上を伸ばしたい
なんて思うこと、ありますよね?
そんな時に、今持っている許可に、別の工事の種類を増やす(追加する)手続きが「業種追加」です。
「新規申請」「更新申請」とはどう違う?
建設業許可の手続きには、主に3つのパターンがあります。
- 新規申請:ゼロから初めて許可を取得する時に行う申請です。
- 更新申請:許可の期限(5年)が来る前に、今ある許可を続けるために5年ごとに行う申請です。
- 業種追加申請:すでに許可を持っている会社が、新しい種類の工事もできるように業種を増やす申請です。
業種追加は、現在の許可を活かして、会社の幅を広げるための「攻めの申請」といえるでしょう。
2.なぜ「業種追加」が必要なの?
答えはシンプルです。今持っている許可業種以外の工事で、消費税込み500万円以上(※建築一式工事は1,500万円以上)の工事を請け負う時に必要だからです。
例えば、今持っているのが「とび・土工工事業」の許可なのに、「管工事」で500万円以上の仕事を請け負うことになったとします。この場合、「管工事業」の許可を持っていないのに、法律で決められた金額以上の工事を請け負うと、それは法律違反となります。
そうならないために、新たな種類の500万円以上の工事を請け負う場合は、その業種の建設業許可を「業種追加」という形で取得する必要がある、ということです。
新しい種類の工事を請け負えるようになれば、
- より大きな仕事を受注できます
- さまざまなお客さんのニーズに応えられます
- 結果的に、会社の売上や信頼が大きく向上します
3.「業種追加」のために必要な条件は?
業種追加の申請では、新規申請と同じく、いくつかの大事な条件をクリアする必要があります。しかし、すでに許可を持っているあなたにとっては、ほとんどの条件はクリア済みのはずです。
特に新しく確認が必要なのは、「追加したい業種に対応できる技術のプロ(専任技術者)」がいるか、という点です。
技術のプロ(専任技術者)の要件が最も重要
追加したい業種について、専門的な知識や経験を持つ「技術のプロ」が、あなたの会社の営業所に常にいることが必要です。
「技術のプロ」になる主なパターンは、新規申請の時と同じですが、特に業種追加で注目すべきは以下の点です。
- 追加したい業種に対応する国家資格を持っている人。
- 追加したい業種で10年以上の実務経験がある人(これは契約書などで証明が必要です)。
- 「特定建設業」の許可を追加する場合は、技術のプロの要件がさらに厳しくなります。特定の主要な7業種では、1級国家資格者でないと認められないなど、細かなルールがあります。
【重要なこと】 「技術のプロ」は、その営業所に常勤している人でないと認められません。また、一人の人が複数の業種の「技術のプロ」になることもできますが、それぞれの業種で必要な資格や経験を持っている必要があります。
その他の要件は「新規申請」とほぼ同じ
- 経営のプロ(経営業務の管理責任者):現在の会社の「経営のプロ」が、何らかの建設業で5年以上、会社の経営に携わった経験があれば、原則として問題ありません。
- 財産的基礎:すでに許可を持っている会社なので、ほとんどのケースで心配いりません。
- 誠実性・欠格要件、社会保険への加入:これらも新規申請の時と同じように確認されますが、通常はすでにクリアしているはずです。
(※各要件の詳しい内容は、当事務所の新規申請に関するブログ記事もぜひ参考にしてください。)
4.「業種追加」の手続きはどう進めるの?
業種追加も、書類を行政庁に提出し、審査を受けることになります。
手続きの流れと費用
- 条件の確認:追加したい業種について、「技術のプロ」の要件を満たせるか確認します。
- 書類の準備:追加する業種に関する書類(資格証や実務経験の証明など)を集めて準備します。
- 申請:管轄の行政庁に書類を提出し、手数料を支払います。
- 手数料は、1業種につき5万円です。
- もし、現在「一般建設業」の許可だけを持っていて、新しく「特定建設業」の業種を追加したい場合は、「般特新規(一般から特定へ変わる新規申請)」という、少し複雑な手続きとなり、手数料も変わることがあります。
- 審査・許可:書類の審査が通れば、無事に業種追加の許可がおります。
許可がおりるまでの期間
申請してから許可がおりるまでには、およそこれくらいの時間がかかります。
- 都道府県知事の許可:約45日
- 国土交通大臣の許可:約120日
土日祝日や、書類に不備があった場合の修正期間は含まれません。「この工事を請け負いたいから、急いで許可が欲しい!」という場合は、早めに準備を始めるのがおすすめです。
許可の有効期限は変わらない
業種追加をしても、追加した業種の有効期限は、元々持っている許可の有効期限と同じになります。
もし現在の許可の更新が間近に迫っているなら、「更新手続き」と「業種追加」を一緒に申請することができます。これを「一本化」と呼びますが、こうすることで次の更新時期を揃えられ、手間や費用を抑えることができます。
5.「業種追加」で、こんなトラブルに注意!
実は、急いで業種追加を進めようとすると、思わぬところでつまずくことがあります。
「決算変更届」の提出忘れ
これは、本当に「建設業許可あるある」で、非常に多いケースです。 行政庁は、あなたが過去にきちんと「決算変更届」を提出しているかを、細かくチェックします。もし提出を忘れていると、業種追加の申請を受け付けてもらえないことがほとんどです。
「決算変更届」は、会社の決算が終わってから4ヶ月以内に必ず提出する、法律で決まっている報告書です。これを怠ると、法律違反になります。
「早く許可が欲しい!」と思っても、まずは過去の決算変更届に漏れがないか確認することが、スムーズな申請への第一歩です。
「その他工事」の売上、きちんと記載してる?
「決算変更届」の書類の中に、あなたの会社が過去3年間でどのような工事をどれくらい行ったか、金額を記載する欄があります。その中に「その他の建設工事の施工金額」という欄があるのですが、ここに注意が必要です。
もし、現在許可を持っていない「管工事」の実績があるのに、うっかり「その他工事」の欄に金額を入れずに「0円」で提出していると、いざ「管工事」の業種追加をしようと思った時に、「この会社、管工事の経験がないと言っているけど…?」となってしまいます。
許可を取得していない工事の売上でも、きちんと「その他工事」として計上しておけば、将来の業種追加でその実績を使うことができるので、もったいないことにならないように気をつけましょう。
6.まとめ:事業を大きくするチャンスを掴みましょう!
建設業許可の「業種追加」は、あなたの会社の可能性を大きく広げるための大切なステップです。新しい種類の工事を請け負えるようになれば、売上を増やせるだけでなく、会社としての信頼も大きく向上します。
「こんな工事もできるようになりたいんだけど、うちの会社でできるかな?」「新しく技術者を雇用する予定があるんだけど、業種追加もできる?」
もし、業種追加に少しでも興味があれば、ぜひ私、マムアン行政書士事務所にご相談ください。あなたの会社の事業拡大を、全力でサポートさせていただきます!