こんにちは、マムアン行政書士事務所です。
建設業の許可を取って、公共工事に参加できるようになっても、会社の状況は常に変化しますよね。例えば、事業を拡大して他の都道府県に営業所を出したり、逆に事業を縮小して営業所をまとめたりすることもあるでしょう。
そんな時、「今持っている建設業許可はどうなるんだろう?」と疑問に思うかもしれません。実は、こうした場合に必要になるのが「許可換え新規」という手続きです。
今回は、この「許可換え新規」とは何か、どんな時に必要になるのか、分かりやすく解説していきます。
1. 「許可換え新規」って何?
建設業の許可は、主に「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」の2種類があります。
- 都道府県知事許可: 営業所(契約の打ち合わせや契約締結を行う事務所)が1つの都道府県内にしかない場合に必要です。
- 国土交通大臣許可: 営業所が2つ以上の都道府県にまたがってある場合に必要です。
「許可換え新規」とは、この許可を出している役所が変わる時に行う申請のことです。つまり、知事許可から大臣許可へ、大臣許可から知事許可へ、またはある県の知事許可から別の県の知事許可へ、許可を切り替える手続きを指します。
「新規」という言葉がついていますが、これは新しく許可を取り直すという意味合いが強く、以前の許可は新しい許可が下りると同時に失効します。単純な住所変更や更新とは違う、特別な申請になるので注意が必要です。
2. どんな時に「許可換え新規」が必要になるの?
具体的に、どんな場合に許可換え新規が必要になるのか、パターン別に見ていきましょう。
パターン1:知事許可から大臣許可へ変わる場合
現在、1つの都道府県内だけで営業している会社(知事許可を持っている会社)が、新しく別の都道府県にも営業所を出す場合に必要です。
例えば、東京都知事許可を持っている会社が、新たに神奈川県にも営業所を開設して営業活動を行う場合などがこれにあたります。
パターン2:大臣許可から知事許可へ変わる場合
現在、複数の都道府県に営業所を持っている会社(大臣許可を持っている会社)が、一部の営業所を閉鎖するなどして、すべての営業所が1つの都道府県内だけになる場合に必要です。
例えば、東京都と神奈川県に営業所があり大臣許可を持っていた会社が、神奈川県の営業所を廃止し、東京都の営業所だけになった場合などがこれにあたります。
パターン3:ある県の知事許可から別の県の知事許可へ変わる場合
現在、1つの都道府県内だけで営業している会社(知事許可を持っている会社)が、その営業所を他の都道府県に完全に移転する場合に必要です。
例えば、東京都にあった会社の本店(営業所)を、神奈川県に移転する場合などがこれにあたります。
複数の営業所がある場合の注意点
もし、複数の営業所(例えば本店と支店)がある場合は、少し複雑になります。
- 本店も支店も同じ都道府県内にあり、その両方をまとめて別の都道府県に移転する場合は、移転先の知事許可への許可換え新規です。
- 本店と支店があり、そのうちのどちらか一方だけを他の都道府県に移転する場合や、それぞれ別の都道府県に移転する場合は、営業所が複数の都道府県にまたがることになるため、大臣許可への許可換え新規が必要になります。
3. 「許可換え新規」にならないケースもある?
すべての営業所の変更が「許可換え新規」になるわけではありません。次のような場合は、通常の手続きで対応できます。
- 現在持っている知事許可の範囲内で、同じ都道府県内に新しい営業所を増やす場合。
- 大臣許可を持っていて、複数の都道府県に営業所がある会社が、主たる営業所(本店)の所在地を、別の都道府県にある支店に移す場合。この場合も、引き続き複数の都道府県に営業所があるため、大臣許可のまま変更手続きを行います。
重要なのは、契約締結や見積もりなどの営業行為を行う「営業所」が、どの都道府県にあるかという点です。単なる資材置き場や事務処理だけの場所は、建設業法上の営業所には含まれません。また、知事許可を持っていても、全国どこの現場の工事でも請け負うことは可能です。現場の場所ではなく、営業所の場所が判断のポイントになります。
4. 「許可換え新規」の手続きと費用
「許可換え新規」は「新規」という言葉がついていることからも分かるように、新しい許可を申請するのと同じような手続きになります。そのため、いくつかの注意点があります。
申請先は「新しい許可の行政庁」
申請手続きは、変更後の許可を出してくれる役所(自治体や地方整備局)に提出します。
- 東京都から神奈川県知事許可へ変わる場合は、神奈川県に申請します。
- 東京都知事許可から大臣許可へ変わる場合は、本店のある地方整備局に申請します。
申請書類や審査期間
申請書類は、基本的には新規で許可を取る場合とほとんど同じです。それぞれの自治体で独自のルールや必要な書類が少し異なる場合があるので、申請先の役所の最新の手引きをよく確認することが大切です。
審査にかかる期間も、新規申請とほぼ同じくらいかかります。新しい許可が下りるまでに時間がかかるため、今の許可の有効期限が切れてしまわないように、余裕を持って準備を始めることが重要です。
費用について
行政庁に支払う申請手数料も、新規申請と同じ金額になります。
- 知事許可への変更の場合:9万円
- 大臣許可への変更の場合:15万円
今の許可の「廃業届」は不要
許可換え新規の申請をする場合、現在持っている許可の廃業届を出す必要はありません。新しい許可が下りた時点で、自動的に前の許可は失効します。
まとめ:「許可換え新規」は計画的な対応が大切です
「許可換え新規」は、会社の事業展開に合わせて必要になる重要な手続きです。営業所の移転や増減に伴い、許可の管轄が変わる際には、必ずこの許可換え新規の申請が必要になります。
- 営業所の増減や移転の予定がある場合は、許可換え新規が必要かどうか早めに確認しましょう。
- 申請先の役所によって、必要な書類や手続きの細かいルールが異なる場合があります。事前にしっかり確認しましょう。
- 審査期間も考慮し、有効期限が切れないように計画的に進めることが大切です。
「複雑な手続きで不安」「自分のケースが許可換え新規に該当するかどうか知りたい」といったお悩みがあれば、いつでもマムアン行政書士事務所にご相談ください。あなたの会社のスムーズな事業展開を、私たちが全力でサポートさせていただきます!